2005年9月10日放送(関西地区)のTBS系「世界・ふしぎ発見」の中で、松尾芭蕉の句「あやめ草足に結(むすば)ん草鞋の緒」という句が紹介されていたが、そのときの再現映像の中で、芭蕉が履いていた草鞋の鼻緒には、あきらかにアヤメ科のものと思われる大きな紫色の花がくっついていた。しかしこれはあきらかな間違いだ。
この句に登場する「あやめ草」とはアヤメ科のアヤメあるいはハナショウブなどではなく、サトイモ科のショウブ(菖蒲)のことだからだ。サトイモ科のショウブの花は円柱状の肉穂花序(にくすいかじょ)で目立たず、アヤメ科のものとはまったく異なる。端午の節句に菖蒲湯として使ったり、軒に挿したりするのももちろんサトイモ科のほう。
サトイモ科のショウブを古くはあやめ草と称したために、このような混同はよく起こるのだが、このケースもおそらく番組制作者の勘違いであろう。